何もできなかった次の日の、小さな話

よりそいノート

昨日は、何もできなかったなあ……

そんなふうに思いながら
朝を迎える日があります

やろうと思っていたことも
途中で止まってしまったことも

全部そのまま残っていて
少しだけ気持ちが重たい朝


「……小雪、大丈夫?」

小春が、湯気の立つお茶を置きながら
そっと声をかけます


「うん……でも、昨日ほんとに何もできなくて」

小雪はカップを見つめたまま
小さくつぶやきました


「そういう日、あるよ」

小春はいつも通りの声で
静かに返します


「でもさ、何もしてないのに疲れてるのって
なんかダメな気がして……」


少し間があいて
お茶の湯気がゆらりと揺れます


「“何もしてない日”ってね」

小春がゆっくり続けます

「外から見えないだけで
中ではちゃんと動いてる日なんだよ」


「……動いてる?」


「うん。考えたり、悩んだり、耐えたり」

「見えないところで、ちゃんと消耗してる」


小雪は少しだけ顔を上げました


「じゃあ……休んでたってこと?」


「それもあるし、“止まって守ってた日”かな」


外はまだ静かで
朝の光がやわらかく差し込んできます


「昨日の分、取り戻さなきゃって思ってたけど……」


「取り戻さなくていいよ」

小春はすぐにそう言いました


「人ってね、“止まったあと”に
ちょっとだけ動ければ十分なんだよ」


「ちょっとだけ……」


「うん。全部やろうとしなくていい」

「ひとつだけでもいいし
なんなら“何もしない”を続けてもいい」


小雪はカップを両手で持ち直して
一口だけお茶を飲みました


「……じゃあ今日は」

少し考えてから

「洗濯だけ、やってみようかな」


「いいね」

小春はやさしく笑います


「それができたら、もう十分すごいよ」


昨日は何もできなかった

でも今日は、ほんの少しだけ動いた


それだけで
もう“昨日とは違う日”になっています


何もできなかった日があってもいい

止まった時間があってもいい


そのあとに
ほんの少しだけ動けたなら

それはちゃんと
前に進んでいるということだから


今日もここで
少しだけでも、息がしやすくなりますように


またしんどくなったら
いつでも来てくださいね🌙

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