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「うわぁ……」
夜。
布団に入った瞬間だった。
小雪は思わず枕に顔を埋めた。
部屋は静か。
時計の秒針だけが小さく響いている。
なのに頭の中は全然静かじゃない。
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「なんで今さら思い出すの……」
数年前の出来事だった。
職場の飲み会。
みんなの前で言った冗談。
あの時は笑って終わったはずなのに、
なぜか急に思い出した。
そして思い出した瞬間、
顔が熱くなる。
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「絶対変な人だと思われた……」
-150x150.png)
「恥ずかしい……」
-150x150.png)
「消えたい……」
小雪は毛布を頭まで引き上げた。
すると、
コンコン。
部屋のドアがノックされた。

「起きてる?」
小春だった。
-150x150.png)
「起きてる……」
-150x150.png)
「どうしたの?」
小春は部屋に入ると、
小雪の様子を見て首をかしげた。

「また何か思い出した顔してる」
-150x150.png)
「なんで分かるの」

「長い付き合いだから」
小春はくすりと笑った。
小雪はため息をつく。
-150x150.png)
「昔の失敗思い出した」

「ああ」
小春は納得したように頷いた。
-150x150.png)
「よくあるやつだね」
-150x150.png)
「全然よくないよ」
小雪は毛布の中から顔だけ出した。
-150x150.png)
「もう何年も前なのに」

「うん」
-150x150.png)
「急に思い出して」

「うん」
-150x150.png)
「今さら恥ずかしくなってる」

「うん」
小春は静かに聞いている。
-150x150.png)
「ねえ」
小雪が言った。
-150x150.png)
「なんで昔の失敗って急に出てくるんだろう」
小春は少し考えた。
-150x150.png)
「たぶんね」
-150x150.png)
「うん」

「脳が暇だから」
-150x150.png)
「え?」
思わず小雪は起き上がる。
-150x150.png)
「それだけ?」

「わりとそれだけ」
小春は笑った。

「昼間は仕事とか家事とかで忙しいでしょ」
-150x150.png)
「うん」
-150x150.png)
「でも夜になると静かになる」
-150x150.png)
「うん」

「すると脳が過去のフォルダを勝手に開く」
-150x150.png)
「迷惑すぎる」
-150x150.png)
「本当にね」
二人は少し笑った。
小雪は天井を見上げた。
-150x150.png)
「でもさ」

「うん」
-150x150.png)
「思い出すってことは」

「うん」
-150x150.png)
「やっぱり私が悪かったってことじゃない?」
小春は首を横に振った。
-150x150.png)
「そうとは限らないよ」
-150x150.png)
「え?」
-150x150.png)
「むしろ逆かもしれない」
小雪は不思議そうな顔をする。
小春は続けた。
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「本当に反省してない人って」
-150x150.png)
「うん」

「そんなに何年も覚えてないと思う」
その言葉に、
小雪は少し黙った。
確かにそうかもしれない。
自分が気にしているのは、
誰かを傷つけたかったからではない。
嫌な人だったからでもない。
失敗したくなかったから。
ちゃんとしたかったから。
だから今でも思い出してしまう。

「それにね」
小春が言った。

「その時の周りの人」
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「うん」

「案外覚えてないと思うよ」
-150x150.png)
「そんなものかな」
-150x150.png)
「そんなもの」
小春は即答した。

「小雪だって」
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「うん」
-150x150.png)
「五年前に誰かが言った失言とか覚えてる?」
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「……覚えてない」
-150x150.png)
「でしょ」
小雪は少し笑った。
言われてみればそうだった。
自分だけが覚えていて、
自分だけが恥ずかしがっている。
そんなことは意外と多いのかもしれない。
窓の外を見る。
夜の街は静かだった。
過去は変えられない。
失敗も消えない。
でも、
何年も前の自分を責め続ける必要はないのかもしれない。
あの頃の自分なりに、
一生懸命だったはずだから。
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「ねえ、小春」

「なに?」
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「私」
少しだけ笑う。
-150x150.png)
「そんなに悪い人じゃなかったよね」
小春も笑った。
-150x150.png)
「うん」
-150x150.png)
「たぶん失敗しただけ」

「うん」
-150x150.png)
「それだけ」
その言葉を聞いて、
小雪は少し肩の力が抜けた気がした。
昔の失敗は、
思い出してもいい。
反省してもいい。
でも、
ずっと自分を罰し続けなくていい。
そんなことを思いながら、
小雪はもう一度布団にもぐりこんだ。
今夜は少しだけ、
穏やかに眠れそうな気がした。


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